「レンヌ・ル・シャトーの謎―イエスの血脈と聖杯伝説」
この本を買って読んだのは3年くらい前だが、最近、「ダヴィンチ・コード」の種本として紹介されている様なので、読み返してみた。ノンフィクションものだ。ちなみに「ダヴィンチ・コード」はまだ読んでない。
【内容】
1885年、フランスはピレネー山脈の小村、レンヌ・ル・シャトーに、新しい教区司祭として33歳のベランジェ・ソニエールが任命された。あるとき彼は、6世紀西ゴート族の聖地の上に建つ小さな教会を修繕し始めた。この教会は1059年にマグダラのマリアに献堂されたものである。1886年または1887年に彼は、教会の古い柱のくり貫かれた内部から、4枚の羊皮紙を発見した。その文書を読んだソニエールは外の墓地に注目し、墓石に刻まれた暗号を見つけた。その碑文を解読したあと、ソニエールに経済的に大きな転換が起こった。突然、大金持ちになったのだ。 その大金の出所について、さまざまな推測が噂になった。その地方を支配したテンプル騎士団またはカタリ派の失われた財宝、西ゴート族の埋蔵金、錬金術の秘法の発見などの説もあるが、実は彼はとてつもない「秘密」を掴み、ローマ・カトリック教会を脅して巨万の富を引き出したらしい。
その「秘密」を本書の著者たちは、「キリストに子孫がいて、彼らは南フランスへ降り立ち、フランスの王族と結婚し、神聖なメロヴィング王朝が成立した」という説を唱えている。古くからの伝説によれば、マグダラのマリアはイエスの妻であり、イエスの子を身ごもったままイスラエルを出て、南ゴール(レンヌ・ル・シャトーも含まれる)のユダヤ人王朝にたどり着き、その子供を出産したと言われている。つまり、マグダラのマリアが運んだものは、子宮の中のダビデ王という種子であったと考えられている。
『秘密文書』と呼ばれる2通の不思議な文書の写しと写真がパリ国立図書館に保管されている。この『秘密文書』には、様々な家系の系図、モザイク様文字、墓石に刻まれた文字の写しなどが集められている。そして最も興味深いことは、この2通の文書がレンヌ・ル・シャトーの教会の柱の中から発見された羊皮紙と同じ文書であるとの噂があることだ。 また、これらの『秘密文書』には、「プリウリ・ド・シオン団」(シオン修道会)と呼ばれる謎の秘密結社について触れているようであった。
「プリウリ・ド・シオン団」(シオン修道会)は、エルサレムを奪還した第一回十字軍の指導者ゴドフロワ・ド・ブイヨンによって1090年代に設立された。フロンド党やテンプル騎士団の設立にもこの修道会が背後にあったとされている。「プリウリ・ド・シオン団」(シオン修道会)が公言する組織の目的は、メロヴィング王朝とその家系をフランスの王位だけでなく、他のヨーロッパの王位にも復活させることである。それはつまり「王家の血」を守ることを意味する。
「プリウリ・ド・シオン団」(シオン修道会)という不可解な秘密結社は、1956年に自らその存在を明らかにした。フランスの団体・組織の辞典にも、「カトリック規則による騎士道精神と独立伝統連盟組織」というサブタイトルが付けられて掲載されている。そしてその歴代総長には、レオナルド・ダ・ヴィンチ、アイザック・ニュートン、ヴィクトル・ユゴー、クロード・ドビュッシー、ジャン・コクトーといった芸術家や文化人が名を連ねている。
【レンヌ=ル=シャトーの謎―イエスの血脈と聖杯伝説/マイケル ベイジェント・ ヘンリー リンカーン・ リチャード リー共著/ 林 和彦訳/柏書房】