天命に安んじて人事を尽くす

天命に安んじて人事を尽くす

清沢満之

この言葉は、「人事を尽くして天命を待つ」の単なるパロディーにも見えるけど、実は仏教の世界では良く知られた名句です。明治期の浄土真宗大谷派の僧侶である清沢満之の言葉です。意味は、読んで字の如く、天命に定められた範囲内でしか、人事は尽くせない、と言ったとことろでしょうか。浄土真宗の教えらしく、人間のなしうるものごとなど、殆どが宿業(過去生での所業)や仏のはからい、様々な縁(周囲の条件)によって決まってるのであって、個人が純粋に自分の能力・努力のみでなし得ることなど、ほとんどないと言っているのです。
この言葉の解釈で、浄土真宗の篤信者の亀井鑛氏は次のように読み下しています。

天命に安んじる限り、これまでにこうなってきた過去のことは、
「そうなるべくしてそうならずにいなかった、天からの賜りもの」と、
こだわりなく受けとめ、今こうしてここにある現在は「これでよし、ちょうどよし、自分の分相応」と素直に容認し、この先どうするかの未来については「結果は問わず、やれるだけやらせてもらう」に立つのが、本来の私のあり方なのだと提唱している。

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